ニューヨーク(CNNMoney) 米配車サービス大手ウーバーで乗客に対する性暴力の罪に問われた運転手は、
全米で過去4年間に少なくとも103人いたことが、CNNの独自調査で明らかになった。

カリフォルニア州サンディエゴに住む女性はカクテルを飲みに出掛けた帰りに酔った状態でウーバーに乗り、
後部座席で意識を失ってしまった。気付くと自宅の手前で運転手に襲われていたという。
女性は何とか逃げ出して警察に通報した。

警察は54歳の運転手を逮捕した。押収されたパソコンからは、
この男が過去5年以上、自身の強姦や少女虐待の場面を撮り続けていたビデオが見つかった。
運転手は昨年11月、性的暴行を含む計34件の罪で禁錮80年の刑を言い渡された。

CNNの調べによると、同じように乗客への性暴力で逮捕または手配されたり、
民事裁判で訴えられたりしているウーバー運転手は少なくとも103人に上る。
このうち少なくとも31人が有罪となっている。

ウーバーなど配車サービスの運転手による性暴力について、公式のデータは発表されていない。
そこでCNNは警察や連邦裁判所、主要20都市にある郡裁判所の記録を徹底的に調査した。

ウーバーは2010年にサンフランシスコでサービスを開始し、
現在では世界630都市で1日1500万件の配車を手掛けている。
「安全に帰宅を」とうたい、飲酒運転の防止にもなるとして利用を呼び掛けてきた。

ところがCNNの調査では、被害に遭った女性の多くが外出先で酒を飲んだ後、
酔った状態でサービスを利用していたことが判明。
うたい文句とは裏腹の実態が浮かび上がった。

ウーバーはCNNがこの問題について取材していることを数カ月前から知っていたが、取材には応じていなかった。
今月予定していた幹部へのインタビューもキャンセルされた。

しかし最近になって運転手の就業規則を改訂し、性的接触の禁止を明記したという。
公式サイトには先週、性暴力防止に向けた運転手と乗客向けのビデオを掲載。さらに今後、
全米50カ所でこの問題についての意見交換会を開くとの方針を示した。

昨年8月に就任したコスロシャヒ最高経営責任者(CEO)は先週、CNNによる別件の電話取材の中で、
性暴力の取り締まりは「我々の新たな優先課題だ」と述べた。

ウーバーの広報担当者はCNNにあてた文書で、今後は運転手の身元調査を毎年更新し、
ウーバーのアプリ内に「安全センター」という機能を追加するなどの対策を示した。
乗客はこの機能を使って、利用行程の詳細を指定連絡先へ知らせることができる。
緊急時に警察に通報するボタンも設けるという。同担当者は「これは第一歩にすぎない」とも強調している。

CNNはウーバーの競合相手、米リフトについても同様の方法で調査を実施した。
リフトでは過去4年間に18件の性暴力があり、運転手4人が有罪を言い渡されていたことが分かった。

CNNはさらに全米20カ所の警察署に取材し、ウーバーやリフトの運転手による性暴力の届出件数を調べた。
その結果、ここ2〜3年で20件以上の被害届があったにもかかわらず、
逮捕に至ったのは1〜2件といった実態が明らかになった。運転手103人という調査結果は、
氷山の一角にすぎないとみられる。

ウーバーのサービス利用規約には、苦情があった場合は個別に調停で解決するとの条項がある。
被害者らはこれが告訴などの妨げになるとして、条項の削除を求めている。

関連ソース画像
https://www.cnn.co.jp/storage/2018/05/02/9baa7590da57c615ebc2363ea04fe0c6/uber-assault-investigation-money.JPG

CNN
https://www.cnn.co.jp/tech/35118643.html