世界文化遺産への登録を目指していた「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」について、
ユネスコの諮問機関は「世界遺産にふさわしい」と勧告しました。
これにより、長崎市の大浦天主堂など12の構成資産はことし世界文化遺産に登録される見通しとなりました。

長崎県と熊本県の「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、
原城跡や大浦天主堂、さらに禁教期にキリシタンが暮らした集落など12の資産で構成され、日本政府がことし、
世界文化遺産への登録を目指しています。

ユネスコの諮問機関「イコモス」は現地調査などを行った結果、「世界遺産に登録することがふさわしい」とする勧告をまとめました。

今回の勧告は4段階ある評価のうち最も高いことなどから、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、
ことしバーレーンで開かれる世界遺産委員会で正式に世界文化遺産に登録される見通しとなりました。

国内の世界遺産は現在、文化遺産が17件、自然遺産が4件です。

■当初の14から指摘を受けて2つ外す

「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」は、
長崎県と熊本県の主に江戸時代の禁教期のキリシタンに関する12の資産から構成されています。

当初は14の資産から構成されていましたが、2年前にユネスコの諮問機関から
「キリスト教の信仰が禁じられた時期に焦点を当てるべきだ」と内容を見直すよう指摘されました。

そして、地元の自治体などが構成資産を見直した結果、
名称を「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」から「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」に変更したほか、
禁教との関係を証明するのが困難な2つの資産を外して、再び推薦書を提出していました。

■ユネスコの諮問機関「イコモス」の勧告は

ユネスコの諮問機関「イコモス」の勧告は世界遺産への登録の可否を決める世界遺産委員会の判断に大きな影響を与えます。

イコモスの審査は「普遍的な価値の証明が十分か」や「保全状況は十分か」などを基準に行われます。
そして、勧告は、最も高い評価の「記載」、「情報照会」、「記載延期」そして、「不記載」の4段階で出されます。

このうち、「記載」の評価を受けた資産はこれまですべて世界遺産に登録されています。

それに次ぐ「情報照会」は、追加で情報を提出させて翌年以降に再度審査を、
さらに「記載延期」は本質的な改定が必要だとして登録を見送るべきという内容の勧告です。

ただし、過去にはこの2つの勧告を受けた資産が世界遺産委員会で登録が認められたケースもあります。

最も低い評価の「不記載」は、世界遺産にふさわしくないという勧告で、
これが世界遺産委員会で確定すると世界遺産への登録は難しくなります。

NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180504/k10011426801000.html