日本ではしばしば長時間労働が問題となっており、働き過ぎによる過労死も社会問題化しています。
労働者が適切な休みを取ることを義務づけているフランスでは、
「1週間1度も店を閉めずに働き続けた」としてパン職人が罰金刑を受けたとして話題になっています。

D'oh! French court fines baker for refusing to take a day off | World news | The Guardian
https://www.theguardian.com/world/2018/mar/14/crumbs-french-baker-fined-3000-for-working-too-hard

人気の観光地である北フランスのリュジニー・シュル・バルスで
「ブーランジェリー・ドゥ・ラ」というパン屋を経営するセドリック・ビブレ氏は、
2017年の夏に1週間に1度も店を休みにせず働き続けたとして、3000ユーロ(約40万円)の罰金刑を命じられました。
1994年と2000年に制定された地元の雇用法により、
特殊な例外を除いてパン屋は少なくとも1週間に1度の休みを取らなければならないと定められているとのこと。

2016年まで、ビブレ氏は「夏のバカンスの間で観光客がやってくる期間のみ、
1週間続けて店を開く」ことの許可を申請し、当局から開店の許可を得ていました。
ところが、2017年に限って当局の職員がビブレ氏の申請を却下したそうです。
結局ビブレ氏は当局の許可を得ないまま、例年通りバカンス期間に1週間パン屋を休まず開店し続けたところ、
今回の罰金刑が下ったというわけ。

リュジニー・シュル・バルスは人口およそ2000人程度の小さな町ですが、
町のパン屋さんであるビブレ氏と「ブーランジェリー・ドゥ・ラ」を救うため、
近隣住民は署名活動をして申し立てを行っています。
町長であるクリスチャン・ブランル氏は罰金刑を受けたビブレ氏を擁護し、
「夏の間に町を訪れた観光客のために店を開くのは、ビジネス上必要なことです。
それ以上に大事なことなどありません」と、新聞の取材に対して語っているとのこと。


ビブレ氏は今回の処分に対し、「私は1年中店を開きたいと言っているのではないのです。
ただ夏のバカンス期間だけ、店を休まずに開きたいだけです」と述べています。
1週間働き続けることで検挙されないようにする抜け道として、
「営業時間の違うもう1つの店を持つ」という策があるようですが、
そう簡単に実現できるものではありません。

フランスのテレビ局もこの事態を取り上げ、「田舎には田舎なりのルールがある。
競争が激しい地域に店があるわけではなく、ただ顧客がサービスを求めている間だけ働くのだ」として、
一見擁護しているようにも取れるコメントをしています。

しかし、フランスでは「1週間に1度も休みを取らない」という働き方は少数派です。
2017年末にリュジニー・シュル・バルスが属するオーブ県のパン職人とパティシエ126人に行ったアンケートでは、
「1週間に1度は休みを取る」という法律に賛成する人が多数だったとのこと。
パリの小売組合CLIC-Pのエリック・シェラー氏も「パン屋やその他の職業には、
1週間に1度は休まなくてはならないというルールがある。これは労働者と雇用者双方を守るために必要で、
尊重されるべきだ」とコメントしています。

関連ソース画像
https://i.gzn.jp/img/2018/03/16/french-court-fines-baker/00_m.jpg

GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180316-french-court-fines-baker/