0001しじみ ★
2018/03/05(月) 04:41:10.75ID:CAP_USER世界に4冊しか残っていない写本のうちの1番古い1冊であり、ユネスコの記憶遺産に登録されている希少な書物です。
その本は、大昔にビールを置く「コースター」や「まな板」などの代わりとして使用された跡があるとAtlas Obscuraが紹介しています。
One of the World's Most Irreplaceable Books Was Used as a Cutting Board - Gastro Obscura
https://www.atlasobscura.com/articles/exeter-book-cutting-board-coaster-poetry
https://i.gzn.jp/img/2018/03/02/rare-book-used-cutting-board/00_m.jpg
エクセター本は、10世紀ごろの古英語で書かれた詩集です。
この本から詩人のW・H・オーデンやエズラ・パウンド、
そして映画にもなった小説「指輪物語」の作者トールキンたちが創作活動の刺激を受けました。
この本は2016年に国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)が世界の記憶、通称「記憶遺産」として認定しました。
この詩集が希少な理由は世界に4冊しかない量的な理由もあるのですが、
その1番の理由は「英語の歴史」に迫ることができる文化的に希少な資料であるという点が挙げられます。
現在のイギリスとアイルランドがあるブリテン諸島で5世紀から11世紀ごろに話された言語「古英語」は、
度重なる戦乱で変化し続けてきました。ブリテン諸島で古来から住んでいたケルト人は、5世紀ごろ、
今のドイツ付近から来た「古英語を話すゲルマン人」がブリテン島に侵略しました。
次に、この島を古ノルド語を話すデーン人、またの名を「バイキング」が侵略し始めました。
このようにブリテン諸島では多数の人種と言語が入り乱れたことにより、
古英語にフランス語やラテン語などが混ざって変化を繰り返しました。
そして当時の古英語を話している人がいなくなったため、
今では古英語がどのような言葉だったのかを知る手がかりはほとんどありません。
https://i.gzn.jp/img/2018/03/02/rare-book-used-cutting-board/7182153638_2800f3f265_o_m.jpg
そんな背景がある中、10世紀のごろに古英語で書かれたエクセター本は、
古英語とその時代を理解するための文化的・言語学的に希少な資料というわけです。
エクスター本を含めこの詩集の写本は世界に4冊存在し、エクスター本はその中で1番古いものです。
中には40本の詩と96個ほどの謎の言葉が書かれています。
この本を含めて写本が世界に4冊しかない理由は、写本の多くがぞんざいに扱われ、
失われてきたためと推察されています。エクセター大学のエマ・ケイリー教授によると、
エクセター本は「奇跡的に生き残ったもの」とのことで、
誕生から10世紀に渡ってこの本は実用的に使われて痛めつけられ、誰もその価値には気づいてこなかったそうです。
ゲルマン人について研究している学者のパトリック・W・コーナー氏は「ゲルマン人が書いた写本の文章は、
13世紀まで、ほとんどの人が解読不能だったでしょう。写本は何世紀も読まれていませんでした。
そして、大きなこの本を便利な調理台としていました」と写本の数々がぞんざいに扱われた理由を説明しています。
例えば、写本の1冊であるエクセター本は最初の数ページが紛失しており、一番最初のページになっている部分には、
まな板として使用されたナイフの跡があります。
また、ビールのコップか接着剤の瓶をのせた跡と思われるリング状の染みがあり、
ひどく汚れているページがあることも確認されています。
このような経緯で写本の数々が多くの人に「歴史的に重要な本」と認知されずに姿を消しました。
そんな中で、同じくぞんざいに扱われていたエクセター本でしたが、
エクセター大聖堂に寄贈されて保管されることにより紛失を免れ、19世紀に注目され始め、
世界に4冊しかない本のうちの貴重な1冊と認識されます。
この本は現在、エクセター大聖堂の図書館に保管されており、定期的に行われる一般公開日で見ることができます。
なお、この本を大昔に汚した犯人はもちろんわかっていません。
https://i.gzn.jp/img/2018/03/02/rare-book-used-cutting-board/2956_m.jpg
GIGAZINE
https://gigazine.net/news/20180302-rare-book-used-cutting-board/