サウジアラビア政府による「反腐敗」名目の一斉捜査で逮捕された王族ら350人の一人、
大富豪のアルワリード・ビン・タラル王子が27日、釈放された。
次期国王候補のムハンマド皇太子が率いた大規模捜査は、個別の容疑や処分内容が公表されぬまま、
同皇太子の対抗勢力になり得る有力者の多くが失権する形で幕引きとなりそうだ。
一連の捜査が、同皇太子の権力固めの一環だったとの見方が強まっている。

ルワリード王子は著名な投資家で、米金融大手シティグループなどの大株主でもある。
自身の投資会社を通じて王族の資産管理に強い影響力を持っていた。
12月には、政府が60億ドル(約6500億円)の支払いを要求していると米メディアが報じていた。

 同王子は釈放直前のロイター通信の取材に対し、
「政府の誤解が解消しつつある。嫌疑はない」と述べた。
一方、政府関係者は「和解金」の支払いがあったとしている。

 「聖域なき改革」を掲げるサウジ政府は昨年11月以降、
ムハンマド皇太子が率いる「反腐敗最高委員会」の主導で王族や閣僚らを含む350人を逮捕。
贈収賄や着服の容疑をかけた。同国の衛星テレビ局アルアラビアによると、
1月下旬までに多くが容疑を認めて「和解」に応じ、現金や不動産などの資産を国庫に納めた。
一方、90人は嫌疑なしとして釈放された。

画像:サウジアラビアの大富豪、アルワリード・ビン・タラル王子
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朝日新聞デジタル
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