サウジアラビアなど中東5か国 カタールと国交断絶
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NHK 6月5日 19時16分
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サウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦など中東の5か国が、イランとの関係などを理由にあげてカタールとの国交を断絶すると発表し、日本がエネルギーを依存する湾岸諸国の間の対立が一気に深まり企業の活動などに影響が出ることが懸念されます。
サウジアラビアやUAE、バーレーン、イエメン、それにエジプトの5か国は5日、カタールとの国交を断絶すると発表しました。

その理由についてサウジアラビアは、「カタールが、イランが背後にいるテロ組織やイスラム過激派への支援を継続し、各国の安定を脅かしている」などとしています。

これに対しカタール外務省は5日声明で、「根拠が無い主張による不当な措置だ」などと反発しました。カタールでは、国家元首のタミム首長が先月、イランとの関係改善を訴える内容の演説を行ったと伝えられましたが、カタールはこれを否定していました。
サウジアラビアなどの湾岸諸国は、対岸のイランと激しく対立しており、今回の国交断絶は、イランと一定の関係を保ってきたカタールに対する圧力との見方が出ています。

国交断絶を発表したサウジアラビアなどの国々は、自国民のカタールへの渡航を制限する方針を明らかにしていて、日本が原油や天然ガスを依存する湾岸諸国の間の対立が一気に深まり、企業の活動などに影響が出ることが懸念されます。

●官房長官「事態の推移を注視」

菅官房長官は午後の記者会見で、「中東域内の各国が相互に協力してテロとの戦いや中東地域の安定化に向けて取り組むことを期待している。わが国への影響は現時点では確定的ではないが、本件に関する各国は、いずれもエネルギー安全保障などの面からわが国にとって重要であり、事態の推移を注視していきたい」と述べました。

そのうえで、菅官房長官は記者団が国交を断絶されたカタールの評価を質問したのに対し、「わが国にとって天然ガス、原油の重要な供給国であり、幅広い分野で関係を発展させている。さまざまな発表や報道があるのは承知しているが、第三国間の話であり、確定的なことを申し上げるのは控えたい」と述べました。

●カタールの独自外交で対立が深まったか

湾岸諸国の情勢に詳しい日本エネルギー経済研究所中東研究センターの堀拔功二研究員は、今回の国交の断絶まで至った対立の背景について「カタールは天然ガスの輸出などで得た豊富な資金を背景に、独自外交を展開してきた」と指摘しました。

そのうえで「今回、国交を断絶した国々は、カタールがエジプト政府と対立するムスリム同胞団やイランが支援するとされるイエメンの反体制派などを支援していると主張している。カタールが、独自外交を展開した結果、サウジアラビアやエジプトなど域内の大国と利害が一致しなくなり、対立が深まったのではないか」と分析しています。

そして、日本が輸入の8割を中東に依存している原油や天然ガスの日本への供給など経済面への影響について「原油や天然ガスの供給については直ちに影響が出るとは考えにくい。ただ、カタールと周辺国の間で航空便の乗り入れができなくなったり、湾岸諸国の間での物流が滞ったりするなど地域経済の面で影響が懸念される」と話しています。


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