前方で横断歩道の信号を待つ女学生のスカートがふわりと膨らみ、およそその面持ちからは掛け離れた印象を与えるレースの下着が目に入る。
思わずつっと目を下げやり過ごしたぼくは、あんな綺麗で真面目そうな娘さんであっても男女の交わりは日常なのだな、とつい懸想する。
途端に、恋はおろか異性と会話した経験すら持たない我が身が哀れに思え、ぼくは冬の乾いた風に涙を滲ませるのだった。