0001鳥獣戯画 ★
2022/08/15(月) 18:26:13.90ID:CAP_USERhttps://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/309614
桜井浩子さん
(「ウルトラマン」フジ・アキコ隊員役、「ウルトラQ」江戸川由利子役/79歳)
1966年に放送開始された「ウルトラマン」でフジ・アキコ隊員を、それに先立つ「ウルトラQ」で江戸川由利子を演じた桜井浩子さん。2000年代に入ってからは「ウルトラマンマックス」などに出演し、子どもと視聴したおとうさんたちを喜ばせた。映画「シン・ウルトラマン」が大ヒットした今年、元祖“ウルトラの女神”はどういう日々を送っているのだろう。
◇ ◇ ◇
「『シン・ウルトラマン』が大ヒットしてよかったですよ。『トップ・ガン』と同じで、オリジナルがしっかりしているからでしょう(笑)。『Q』と『マン』をオマージュしてくれていてうれしかったです」
そう笑う桜井さんは、同映画で企画・脚本を担当した庵野秀明氏、樋口真嗣監督とも親交が深い。というのも、円谷プロの「コーディネーター」という肩書で働いているからだ。“バルタン星人生みの親”飯島敏宏監督に勧められて始めたという。
きっかけは「ウルトラの揺り籠~実録ウルトラQウルトラマン誕生秘話~」(2003年)。「Q」「マン」制作関係者が、当時の様子を語るDVD作品だ。
「皆さん、私のことは知っているので、出演の折衝をしやすいだろう、と。飯島監督にそう頼まれたんです」
実際、桜井さんの声がけに多くの関係者が喜び、撮影はスムーズに進んだ。それ以降、ウルトラ関連の企画が持ち上がると、桜井さんが人と人を結びつける役を担うようになった。
「おかげで、ものごとや作品を俯瞰で見ることができるようになりました。俳優だけをやっていた時は、どうしても自分の作品が一番だという思いが強かったですね。縁の下の仕事をすることで、冷静に見えてきたものがたくさんあります」
桜井さんは、コーディネーターとしての経験をつづった「桜道」(小学館)という書籍を8月8日に刊行。すっかり新しい仕事になじんでいる一方で、7月には「Q」「マン」時代の写真をふんだんに使った初の写真集「桜井浩子写真集 act ULTRA」(復刊ドットコム)が発売された。往時の活躍ぶりにも注目が集まっているのだ。
怪獣ドラマのさきがけだけに、苦労もよろこびも大きかった。当時の仲間とは今も仲がよいという。
「あの頃は、現場にいる女性は3人だけ。女優とスクリプター(撮影シーンの内容などを記録管理する担当者)とヘアメーク。仲良し3人で『先に死なないでくれ』と言い合っています」
■イデ隊員の死去を機にツイッターを開設
桜井さんに「Q」「マン」で最も好きな回を聞いてみた。すると「ジャミラ」と即答。宇宙飛行士が不時着した星で変異し、怪獣の姿となって故郷の地球に戻ったという物語だ。
「台本を読んで、私はなんていい仕事をさせてもらってるんだと思いました。人間の悲しさが描かれたドラマです。あの回の二瓶ちゃんはかっこよかったねえ」
イデ隊員を演じた二瓶正也さんのことだ。二瓶さんは、昨年8月に死去した。桜井さんはそれを機にツイッターを始めた。
「二瓶ちゃんを悼むファンの声がネット上でたくさん広がっていると聞きました。誰かがその思いを受け止める場をつくらないといけない。それまでツイッターなんてやったことなかったんですけど、私がやるしかないと思って。『科特隊よ、永遠に』とお葬式の写真を上げたら、3日くらい、ずっと携帯が鳴り続けました」
その2カ月後には飯島監督も亡くなった。近年、「Q」「マン」の関係者が相次いで亡くなっている。20年1月に脚本家の上原正三さん、21年4月には光学撮影の中野稔さんが……。桜井さんは当時の様子を知る一人として世に発信をする責務を感じ、ツイッターを更新し続けている。
その一方、女優として出演した映画が、10月に公開される予定だ。
「『ウルトラマンティガ』でムナカタ副隊長役を演じた大滝明利さんから、『ちゃりへん♪』という映画への出演依頼をいただきました。認知症の女性役。バス停で待っているシーンがあるんですが、母が認知症だったので、その状況がよくわかる。母への恩返しのつもりで演じました」
放送開始から56年も経つが、フジ隊員の明るさと積極性は健在だ。
(取材・文=菊地武顕)