ファミ通com2021.05.23 13:00
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大人気マンガ『HUNTER×HUNTER』や『幽☆遊☆白書』などの生みの親・冨樫義博先生による隠れた名作『レベルE』。週刊少年ジャンプ誌上で1995年から月イチ連載形式で数年間掲載されました。

現在アマゾンプライムビデオでは、2011年に放送された本作のアニメ全13話を視聴できます。一見“宇宙人”を題材としたSFアニメのように見えますが、その実態は……。

「現在地球には数百種類の異星人が飛来し、生活している。そのことに気づいていないのは地球人だけ――」。

物語開始早々、そんなナレーションから始まる本作。全話を通して同じ世界設定ではありますが、何話かごとにテイストの異なるオムニバス形式で物語は進んでいきます。

たとえば第1話〜第3話の“バカ王子・地球襲来編”では、山形の如月高校に進学してきた高校球児・筒井雪隆が登場。念願だったひとり暮らしに胸を膨らませながら新居へ辿り着くと、そこには自らを“宇宙人”と名乗る記憶喪失の青年が住みついていました。

初めは宇宙人の存在などまったく信じていなかった雪隆ですが、つぎつぎと彼の人間離れした能力を目の当たりにするうちに信じざるを得なくなる状況に。加えて雪隆のもとに警察が訪ねて来て、「じつは凶悪犯が付近に逃亡したとの情報がありましてね」と彼の写真を見せられて……。

と、ここまではシリアスな雰囲気で進むSFアニメに見えるものの、本作はギャグアニメ。記憶喪失の青年の正体はドグラ星の第一王子であり、宇宙一の天才的な頭脳を持つ宇宙人なのです。ただし性格にかなり難があり、他人がもがき苦しむ姿を見るのが大好物。退屈しのぎのためなら他人の迷惑など何とも思わず、雪隆をはじめとした周囲の者をとことん巻き込んでいきます。

ではいままでのシリアスな流れは何だったのでしょうか。その答えは第3話『Risky Game!』ですべて明らかに。詳細はあえて伏せますが、ひとつ言えるとしたら本作の魅力、そして雪隆を振り回す王子の魅力は「つねに最悪のケースを想定しろ! やつは必ずその少し斜め上をいく!」という名ゼリフ(?)に凝縮されていると言えるでしょう。

ちなみに2021年5月10日に放送されたテレビ番組『ZIP!』では、俳優の風間俊介さんが『レベルE』の魅力をプレゼン。「物語、構成、キャラクター、地球外生命体の生体、すべてが完璧で惚れ惚れする作品」と熱く語っていました。

またタイトルの由来にもおもしろい逸話が隠されており、なぜ『レベル“E”』なのかというと冨樫先生がエイリアンの頭文字を“E”と勘違いしていたため。エイリアンの綴りは“Alien”なので本来は“A”になるはずなのですが、そのツッコミに対して冨樫先生は「『E.T.』のEである」と答えています。

ストーリーもルーツさえも、予想の斜め上をいくアニメ『レベルE』。その結末が気になる人は、ぜひチェックしてみてくださいね。