・長寿のアニメ番組となったポケモンの視聴率は、9月時点で3%台になっている
・「アニメの世帯視聴率と2次利用の収益は必ずしも一致しない」とテレ東幹部
・キャラクター収入など、アニメ以外の取り組みが息長い人気につながっている

 テレビ東京の報道局記者だった岩田圭介(63)は1992年ごろ、日本テレビのアニメ「アンパンマン」が放送収入よりもビデオやキャラクター商品の権利収入など2次利用の利益の方が大きい、という新聞記事を読んだ。これがきっかけで、岩田のテレビ局での人生は大きく変わった。

 民放キー局で最後発のテレビ東京は、社員数をはじめ規模で他局に大きく後れを取っていた。視聴率はいつも最下位。番組にかけるお金も潤沢ではなかった。

 岩田は「制作費は他のキー局の半分以下。局内では『金は使うな、頭を使え』と言われていた」と話す。

 ある現役のプロデューサーはテレビ東京の悪いところを、「低予算前提で考える癖がついてしまい、壮大なことを考えるのを無意識に排除しているところ」(『テレ東的、一点突破の発想術』)と告白している。知恵を最大限に使う社風は変わっていない。


■逆風の中「アニメ」で勝負

 アンパンマンの記事を読んだ岩田は、外部の制作会社ですべて作るアニメなら他局と制作費に差はあまりないはずで勝負ができると考えた。

 報道の前に営業や編成を経験していた岩田は異動希望を出し、翌93年7月、アニメ制作を担当する編成局映画部に移った。子どものころ「鉄腕アトム」や「ハリスの旋風」「あしたのジョー」といったアニメに接し、学校の授業で教えないことを学んだ記憶があった。

 「子どもに夢を、会社に金を」と意欲を燃やした。

 テレビ東京は83〜86年に「キャプテン翼」を放送するなどの実績はあった。しかし、アニメの現場は厳しかった。30分番組で他局が700万円出す制作費を、テレビ東京ではより少額しか捻出できなかった。

 おもちゃやビデオなどでの2次利用の利益をあてこみ、不足分は広告会社やアニメ制作会社に融通してもらっていたという。

 放送する系列局が少なく、アニメ関連の商品の売り上げが伸びないため、おもちゃ会社からもいい顔はされなかった。

■「エヴァンゲリオン」が最初の成功例に

 苦闘するなか、営業の協力を得て、93年に約10本だったアニメの放送枠を2年間で3倍に増やした。

 そんなとき、ビデオ製作を手がけていたキングレコードのプロデューサーから「新世紀エヴァンゲリオン」というアニメの企画を打診された。監督は庵野秀明(58)に決まっていた。

 熱烈なファンを持ちビデオの売り上げは見込めたが、表現にこだわりを持ち周囲とあつれきを生む可能性があった。

 リスクはあったものの、庵野と組む決断をした。夕方6時台の放送だっただけに、性表現や暴力などのシーンについては話し合って折り合いをつけた。

 95年10月からの放送では、10代後半の男性を中心に反響を集めてヒットした。2次利用については、テレビ東京が国内の地上波、衛星波の放送権、キングレコードがビデオや海外の放送権をもった。

 岩田は「テレビ東京の二次利用の権料は数億円になった」と言っている。最初の成功例となった。

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