海賊版サイト対策を話し合う知的財産戦略本部の検討会で9月13日、事務局から中間まとめ案が示された。賛否が対立するブロッキング(アクセス遮断)法制化の必要性については両論併記の上、「合意できなかった」と結論づけたが、その一方で、一定の条件下で「憲法上の問題が生じる可能性は低い」と整理して具体的な制度設計について詳細に記載。これに反対派の委員から削除や修正を求める声が相次ぎ、またしても議論は紛糾した。

■「撤回か修正を」…穏健派もキレた

 「撤回するか、全面的な修正を行うべきである」「総合対策をうたいながら、ブロッキング以外の対策については問題点や限界を指摘するだけで、ブロッキング部分のみ具体的に検討している。これでは『ブロッキングありき』と言われても仕方ない」

 痛烈な言葉で事務局案を批判したのは、日本の憲法の第一人者、東大教授の宍戸常寿委員だった。これまで賛成派と反対派の間を取り持とうと折衷案の提示もしてきた穏健派委員の意見だけに、会場には緊張が走った。

 宍戸委員はこれまで、事務局から「仲介者」と位置づけられてきた。実際、6日に自民党の部会が事務局に検討状況の説明を求めた際、事務局は宍戸委員を「賛成派」として紹介していたほどだ。

 その宍戸委員をキレさせた一つが、事務局案の第3章の「ブロッキングに係る法制度整備について」の記述だった。

 第3章では、憲法との関係について、具体的な立法事実の裏付けなど4要素からなる違憲審査基準(法律の憲法適合性を判定する基準)を掲げ、「当該基準を満たす場合にはブロッキングの法制化は合憲であると考えられる」と結論づけ、ブロッキングを実現するための手法についての詳細な記述に続けている。

 実は、この合憲性に関する判定基準は宍戸委員自身が検討会で説明した内容から引用している。しかし、宍戸委員の発言の趣旨は、その基準を満たすことは極めて困難で、合憲にするには針の穴を通すように難しいというものだった。にもかかわらず事務局案は文脈を違え、合憲の「お墨付き」のように引用してしまったのだ。

 そして、合憲か違憲かの判断に必要な立法事実や比較衡量などの検討を飛ばしたまま、「仮に立法するとすれば」という条件付きで、立法化のための具体的な制度設計の紹介に進んでいる。

 結局、「まとめ」には、「司法型ブロッキングを採用するのであれば、憲法上の問題が生じる可能性は低いと考えられる」と記載されたが、宍戸委員は「憲法上問題ないような印象を与えないように、記載を見直せ」と激しく迫った。

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読売新聞
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