ほかの客たちには、自分が話しかけているのがただのお追従屋なのか、
それとも有力者なのか、知る術はない。
大衆は舞踏会場の窓に顔を押しつけてなかを覗くだけで、
参加者たちの一人として見分けられず、ついに見分ける手立てもない。
これが世界権力の手法である。

仮面を着けて神秘に隠れ、その権力機構を匿名性と仮面によって守るのだ。
その結果、たとえ世界権力に反逆しても、せいぜい見当違いの目標や使い捨ての下っ端の役人に攻撃を仕掛けることになってしまうのだ。

世界権力の記録は恐怖の記録である。
虐殺された何十億もの人びとの怨霊が、
恨みを晴らしてくれとおめき叫ぶからである。
その本質は恐怖の巨匠エドガー・アラン・ポーの『赤死病の仮面』のなかに描かれている。

「海外では腺ペストが猛威をふるっていたが、プロスペロ公は友人たちを千人も招き、
異様なまでに豪華な仮面舞踏会を開いてもてなした。・・・・・・さて、今度は赤死病の到着が告げられた。
いつのまにか、夜盗のように忍び込んでいたのだ。
浮かれ騒いでいた者たちはバタバタと一人また一人、血にべっとり濡れた大広間に倒れていった。
倒れる途中でもがきながら息絶えた。そして、闇と腐敗と赤死病が、すべてをがっしりと支配した。」

ポーがこの小説で描いていることがらは、世界権力の介護と陰謀のもとで、
現在の世界に起きている。
ひどくなるばかりの汚染や疾病、飢餓が、ついには世界中に荒廃をもたらし、
わが人類が絶滅するという結果になるかもしれない。

われわれが生き延びる道は、赤死病の顔から仮面を引きはがし、彼らがもともと出てきた地獄へと送り返してやることだ。
神は、大地を生きとし生けるもののために造られたのであって、われわれはもっと早く、死の同胞団を攻撃すべきだったのだ。
われわれはもうこれ以上、世界権力の利益のために生まれた「戦争」へと誑し込まれてはならない。

世界権力がマスコミや教育や政府機関におよぼす統制によって誤った道を歩みつづける余裕はもはやないのだ。
この本のなかには読者がどうしても認めたくないような事実がたくさんある。