「うちの社員は挨拶しない」という愚痴をこぼしていた
何人かの会社にとどまり、一日の挨拶の状況を観察させていただいた。

すると、面白いことがわかった。

・「挨拶する人」は、だいたいいつも同じ。条件反射のようだ。

・「挨拶しない人」も、自分に向けられた挨拶とわかっていれば、
挨拶を返す人がほとんど。特に挨拶が嫌いなわけではないようだ。

・「社員が挨拶しない」と嘆いている経営者や管理職自身が、
挨拶していないことも多い。

・誰か1人でも、「積極的に挨拶する人」がいると、その周りには
挨拶する人が多い。

私がここから思うのは、挨拶を定着させるためには

「模範が必要」

ということだ。挨拶を積極的に行う人は、基本的にオープンマインドの人が多い。
そういう人の振る舞いを見て、徐々にまわりの挨拶が苦手な人も挨拶に
抵抗がなくなっていく。

「挨拶・マナー研修」は、挨拶の型を教えてもらうことはできるが、
「どのようなシーンで、どのような気持ちで、どんなやりかたで」
挨拶をするべきか、ということについては教えられない。
それは日常生活の中で積極的に試さなければ体得できない。

ゴルフのスイングの本をいくら読んでも、実際にスイングして
みないとうまくならないように、挨拶も実際にやらなければ上達しない。

しかし、「挨拶なし」で生きてきた人にとって、「間」や、「雰囲気」など、
挨拶の条件をその「場」から読み取るのは極めて難しいことだ。

そう、挨拶することは「難しい」と認識するべきなのだ。

したがって、「挨拶しない」と嘆くのであれば、自分が模範と
ならなくてはならない。自分が挨拶における「間」や、
「雰囲気」を読んで、どのように挨拶をするか、皆に示さなければならない。

社員を研修に行かせても効果はたかがしれている。そうではなく、
あなたの模範によって社員を変えるのだ。嘆いているヒマはない。