>>619続き)
西野:まずえーとー…そもそもが要らない物を要らないって言える世界を
   作りたいなって思ったんですよ。たとえば、えーと、こんな仕事を
   していると差し入れとかをいただくことって多いんですけど、
   えーとー、一般のかたからの差し入れを全部OKにしちゃうと
   たとえばそれがナマモノだった場合に食べきれないっていう場合が
   あって、これはスタッフさんにお裾分けしても食べきれないっていう
   場合がある。これナマモノだったら棄てられちゃうわけじゃないですか。
   で、食べ物棄てられるのってヤダなって思って。
   僕、一年目の時から一般のかたからのお客さんからの差し入れって
   こういう棄てられるの絶対ヤダから、お断りしてるんです。
   すると差し入れた側からですね、えーとー…
   「差し入れは気持ちなんだから受け取れよ」っていう。
   差し入れた側の正義でもって、こっちが叩かれてしまうっていう。
   これって結構、えーとー……解決しなきゃいけない問題で、
   えーとなんだろ、たとえば、僕は阪神淡路大震災の被災者なんですけど
   えーとー、ま、僕んちは大丈夫だったんですけど、周りとか大変で。
   週末とかはボランティアで行ったんですね。するとボランティアの
   僕たちの、えとー…時間とか腕は何に奪われたかって言うと、
   全国から届く千羽鶴の撤去なんです。あれをどけないことには
   えーとなんだろ、豚汁だとか、わかんないですけど毛布だとか
   ああいう流通経路が確保できないので、千羽鶴を撤去しなきゃ
   いけないんです。で、この撤去費用も被災地持ちです。
   で、僕たちは千羽鶴によってだいぶ苦しめられたんですけど、
   千羽鶴を要らないってひとこと言おうもんなら、えー、千羽鶴送った側
   から「お前たちのことを思って送ってんのに要らないとはなにごとだ」
   っていう…なんかその、叩かれてしまうっていう。
   なんでこの贈り物でそもそもこういう、えーと、叩かれるっていう
   こういう問題が起こってんのかなって考えた時に………やっぱその
   物が不足してた時代と、えと、物が溢れてる今の時代のルールが
   ぶつかっちゃってんだなと思って。不足してた時代は贈り物が
   ホントに相手の幸せに直結していたんだけれど。
   みんなお腹すかせてたから、食べ物贈ったらホントに喜んで
   もらったんだけれども、今はホントに物で溢れているので、
   僕たちはなるべく手持ち……を少なくして、手をあけておいて
   好きな時に好きな分だけ手に取りたいなっていう。
   この時代に贈り物をやたらめったら贈っちゃうと…ちょっと
   苦しめちゃうことになるので。これを解決したいなって思ったんです。
山本:そこまで全然わかります。