昆虫食の自動販売機を置いた小野沢寛さん
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自動販売機で買える「昆虫食」
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 ゲンゴロウ、蚕のさなぎ、セミ……。長野県中野市竹原の菓子店「寺前商店」の店先に先月末、昆虫食の自動販売機が置かれた。店主が親しんできた昆虫食をもっと知ってもらいたいと思いついた。「長野の伝統食を伝えたい」と話す。

 売っているのは10種の虫の素揚げ。ほかには、コオロギ、イナゴなどだ。塩やレッドペッパーなどで味付けし、瓶詰めしている。先月31日に自販機を設置すると、わずか2日間で100個近くが売り切れる人気だという。

 店主の小野沢寛さん(56)は、父に猟師の友人が多かったため、小さい頃から一緒になって森に行くことが多く、昆虫を口にすることも珍しくなかったという。自動販売機で売りはじめた瓶詰は、東南アジアなどから食用の昆虫を輸入・販売する長崎県佐世保市の企業から仕入れている。

 小野沢さんは「まだゲテモノ扱いされることもあるが、自然のものを頂くというのは当たり前のこと。最初は抵抗があるかもしれないが、安心安全に食べられる。浸透していけばうれしい」と話す。

 昆虫食については、国連食糧農業機関(FAO)が2013年に、食料問題の解決策として推奨する報告書を公表。コストが安く、たんぱく質が豊富で栄養価も高い食材として注目を集めた。長野県内では、スーパーなどでイナゴの佃煮(つくだに)が広く販売されている。

 瓶詰は1個700円。「いずれは調理して販売してみたい」と小野沢さん。容器の瓶を店に持ち込めば店で売る串団子1本と交換できる。仕入れ状況などの問い合わせは同店へ。(遠藤和希)

朝日新聞デジタル 2021年6月3日 10時50分
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