島根県立大生と作成した資料を披露する河辺真弓さん=島根県江津市桜江町川戸で、竹内之浩撮影
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現代の柴犬の先祖とされる「石号」
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 現代の柴犬(しばいぬ)の祖先は昭和初期に益田市で生まれた石州犬−−。江津市桜江町川戸の市民団体「石州犬研究室」が、一般にほとんど知られていない事実のPRに取り組んでいる。主宰の河部真弓さん(60)は「人気の柴犬のルーツが益田にあることは大きな地域資源。柴犬の聖地として多くの人に来てもらい、活性化につなげたい」と意気込んでいる。【竹内之浩】

 日本犬保存会(東京都)によると、柴犬は国の天然記念物に指定されている日本犬6種のうち唯一の小型犬で、国内で飼育される日本犬の8割以上を占める。現在、同会に登録されている柴犬の血統をたどると、益田市にいた石州犬の雄「石号」に行き着くという。

 河部さんは石見地域にかつて生息した石州犬の研究をする中で石の存在を知った。同会島根支部の柳尾敦男支部長(80)=益田市向横田町=と行った文献調査や聞き取りで同市美都町板井川の故下山信市さんの猟犬だったことが判明。昨夏には飼われていた家を探し当て、同会に残る石の血統書も確認した。

 血統書などによると、石は1930(昭和5)年生まれで、浜田市弥栄町出身の東京の歯科医、故中村鶴吉さんが譲り受けて東京に移し、36年に血統を登録した。保存会の会員だった中村さんが故郷の山深い石見地域で純粋な日本犬を探し、石を見つけたらしい。

 河部さんは公民館や県立大での講座、ホームページの開設、動画投稿サイト「ユーチューブ」でのPRソング「石州犬ISHI」の紹介などに取り組む。23日には益田市乙吉町の益田運動公園駐車場で開かれる島根支部の日本犬展覧会で石の紹介や歌の披露を行う。会に参加する下山さんの孫博之さん(55)=同市中島町=は「益田に注目が集まり、地域の役に立てば祖父も喜ぶだろう」と話す。

 展覧会は午前9時から、河部さんの話は正午ごろ。無料。問い合わせは柳尾支部長。

毎日新聞 2018年9月21日
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