虫を調理して食べる「昆虫食」への関心が徐々に高まっている。
2013年に国連食糧農業機関(FAO)が昆虫食を推奨する報告書を発表して以来、
県内各地で昆虫食の体験会が開かれ、関連書籍の出版も増えるなど注目を集める。

8月には磐田市の竜洋昆虫自然観察公園が市民向けに体験イベントを初開催し、
担当者は「昆虫の新たな側面を知り、日常の食の大切さを考えるきっかけになれば」と期待する。

同園のイベントは、昆虫食に興味を持ち独自に研究していた職員の北野伸雄さん(31)らが企画した。
市内外の親子ら約30人が参加し、園内で捕まえたセミを油で揚げ、調味料を付けて味わった。
ダンゴムシを添えたケーキなども提供した。

「ポテトチップスみたい」「一度食べたら十分」など反応はさまざま。
命をいただくこともテーマに据え、参加者はただ食べるだけでなく調理も行った。
生きたセミを熱湯で湯がいた愛知県の小学1年生の男子児童は
「セミをお湯に入れる時は少しかわいそうだったけど、かりかりでおいしかった」と話した。

浜松市の市民グループ「昆虫食倶楽部」も4年前から、昆虫食の体験会を開いている。
月に1回程度、参加者を募り、バッタなどを捕まえて調理。

夏目恵介代表(39)=同市中区=は
「日本でも昆虫を食べる地域はある。実際に食べると、おいしいものもまずいものもあるが、
 身近にいる生き物についての新たな発見がある」と活動の意義を強調する。

磐田の昆虫公園は2回目のイベントを準備。

北野さんは
「昆虫食は一つの食の提案にすぎず、『食べたくない』というのも大切な価値観。
 イベントを通じて参加者それぞれが感想を持ち、自然や虫を身近に感じてもらいたい」と狙いを語る。

<メモ>
国連食糧農業機関(FAO)の報告書 2013年発表。
世界的な人口増や地球温暖化に伴うタンパク源をはじめとした食糧不足の解決策として、昆虫食を推奨する。
報告書では、世界では甲虫、ハチやバッタなど1900種以上の昆虫が食料として扱われ、
20億人の伝統食の一部になっていると推測。

種類によりタンパク質やミネラルを多く含み、栄養価が高い健康的な食糧とされる。
必要な餌や水が家畜に比べ少なく、低コストで飼育しやすいとの利点も挙げている。

写真:昆虫食イベントで、捕まえたセミを油で揚げる参加者
http://www.at-s.com/news/images/n41/404101/IP170910TAN000003000_O_1.jpg
写真:調理したセミに味付けをして盛り付けたセミプレート
http://www.at-s.com/news/images/n41/404101/IP170910TAN000002000_1.jpg

以下ソース:静岡新聞 2017/9/20 17:00
http://www.at-s.com/news/article/topics/shizuoka/404101.html