宇都宮市と栃木県芳賀町が計画するLRT(次世代型路面電車)について同市は11日、
JR宇都宮駅より西側の区間を現計画の3キロメートルから延伸する構想を明らかにした。
LRTに関連するバス路線の効率化や新路線・増便の計画も明らかにした。
2017年度中の着工に向けた手続きに加え、西側区間と周辺交通のイメージの具体化を急ぐ。

LRTはJR宇都宮駅の東西に計約18キロメートル整備するのが計画の全体像。
うち東側約15キロメートルは優先整備区間として昨年9月に国土交通相から認定を受けており、
同区間について国からの工事施行認可を8月に申請する。

これに関連し、東側でLRTと一部重複などするバス路線の再編案のたたき台や、
西側区間の事業化に伴う交通網のイメージを、宇都宮市が策定。
11日に開いた同市議会への説明会で提示した。

うち西側のイメージでは、宇都宮駅から桜通り十文字交差点までの
約3キロメートルの大通りを通すLRTの計画区間を、「更なる延伸を含め検討する」とした。
西側の延伸構想は、これまでも市長が議会答弁などで言及してきたが、市が文書に明記したのは初めて。

LRT整備の際には、1日2千本超と集中する大通りのバスを減らし、
中心部を東西に走る他の道路や郊外へバスを振り向ける。

一方、宇都宮駅東側を主としたバスの再編案では、LRTと重複するのを解消し、
同一区間で運行する複数の事業者を一つにまとめるなど効率化する考えを示した。
バス路線をLRTに接続させたり、
宇都宮駅西口に集中する路線の一部を駅東口発着にしたりする経路の変更も実施する方針。

バス路線の新設や拡充も行う。
東側でホンダなどが立地する各工業団地への通勤は企業の送迎バスが使われているが、
これらをLRTと接続する路線バスや循環バスに置き換える。

また、栃木県東部の真岡市との間に急行路線を新設し、
茂木町との間の路線に急行区間を設け、県東部から宇都宮駅までの所要時間を20分前後短縮するという。

宇都宮市は地域内のデマンド交通整備も含むバス再編により、利便性が高まると説明。
根拠として公共交通がカバーする市内面積・人口が8割強から9割に上昇し、
1日あたりのバス運行本数が2割増え870本になるとする試算を示した。
LRTに関する説明と合わせ住民理解につなげる。

宇都宮市は11日、東側のLRTの整備スケジュールも示し、
18年1〜3月に国の工事施行認可や栃木県の都市計画事業認可を取得した後に着工、
22年3月に開業を目指すとした。

これを踏まえ、着工後の18年度以降に西側のLRTなどの全体概要をまとめるほか、
バス再編案は事業者との協議を詰めて、21年3月までにとりまとめる予定だ。

以下ソース:日本経済新聞 2017/7/12 7:00
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB11HA2_R10C17A7L60000/