きっかけは、些細なことだった
熱病にうなされるかのように、キャベツを手でちぎり、オリーブオイルと塩だけの「俺流あの日

──本当は、何の木だか知りもしないが──とにかく、そんなオーガニックな皿に持っただけの料理とは呼べない食い物が

キャベツ」を木で出来あた
「家パ」なる、ききなれぬ場の流れに押し流されるように「はじめて大勢を家に呼んだ」

やおら皆に好評だった時、一瞬の勘違い(ミステイク)が心に根ざした
声に出した瞬間、場の空気はエウロパの地表か、それよりも遠い準惑星の大気のように”

冷えた”
と、後に氏は語る

つづく「俺流」は、太いパスタをさっと茹でて少量の塩とオイル、やはり木の皿に持ったあれだった──

場は、それまでの楽しく和気藹々だった「家パ」のそれから、
「TVでも見ようか」、「いやそろそろ時間だから」────に変わった

それ以降、氏が「家パ」なるものを再び催すことは、遂になかった
恥の歴史は800年続くという

とかく、この惑星(アース)では────
氏、最大の失敗──いや失態

「あつ盛り」
「俺流アツ盛り」

やっちまった

アリシア・リン原作
『恒星の絶対距離〜ザ・パスファインダー〜』  (HideTo外伝)