女性器が「選ばれない」世界で。小田原のどか評「遠藤麻衣×百瀬文 新水晶宮」
7/24(金) 7:07

 1978年からUNFPA(国連人口基金)が毎年公開している報告書「世界人口白書」の2020年版が6月30日に世界同時発表された。「世界人口白書」は毎年テーマを設けて特定の問題を焦点化するが、今年のテーマは「有害な慣習」であった。すなわち、男児選好、児童婚、女性性器切除などである。


 ここにおいて衝撃的な内容が明らかになる。UNFPAは次のように声明を出している。「いくつかの国では、娘よりも息子を極端に好む男児選好により、出産時の偏った性選択や極端なネグレクトによる育児放棄につながり、その結果1億4000万人もの少女が『消失』している」(*1)。この発表を受け、新聞記事やニュースサイトは「女児 1億4千万人が『消失』」などの見出しで本件を報じた。


 UNFPAの調査によれば、このような男児選好によって失われた女児は1970年の時点で6100万人、2020年までで累計約1億4000万人にのぼる。中国、インドでこの傾向が顕著に見られるという(*2)。ここでの命の選別は、ネグレクト、中絶などによって行われるが、とくに中絶に注目したい。胎児の染色体の性は受精時に決定されるが、胎児が男であるか女であるかという「判別」とは、ある程度胎児が成長したのち、超音波検査を介した陰茎の視認によっていることがほとんどだ。


 このような「判別」が大きな問題をはらんでいることは明からだ。なぜか。「遺伝子の性」「性腺の性」「ホルモンの性・性器の性」「脳の性」、端的に言えば、心、体、指向、様々な要素がからみあって「性」はある。つまり、中絶における男児選好とはペニス崇拝であり、「ペニスのない者」を抹消しようということにほかならない。

イカソース
https://news.yahoo.co.jp/articles/355378fb3ecbf6ed431433022e8b3cf93f8dfda9