12月8日 22時57分ノーベル賞

ことしのノーベル文学賞に選ばれたカズオ・イシグロさんが、授賞式を前にNHKの単独インタビューに応じ、フェイクニュースが多い今の時代だからこそ、文学やジャーナリズムを通じて真実を追求し続けることが重要だと訴えました。
スウェーデンの首都、ストックホルムで8日に行われたインタビューで、イシグロさんはまず、今回の受賞について「ノーベル賞は新しい発見を人類のためにどのように使っていくのか問いかけている。
人間の思いや感情を伝える文学を通じて、分断の時代に築かれた壁を乗り越えることに貢献したい」と感想を述べました。

そのうえで現在の世界情勢については、ヨーロッパやアメリカでグローバル化の反動と見られるポピュリズムが台頭していると懸念を示したうえで
「指導者が時代から取り残されてしまった人々を、いわば利用する形で支持を集めようとしている。これは第2次世界大戦前の1930年代にも使われた手法で、非常に危険だ」と警告しました。

イシグロさんはフェイクニュースについても警鐘を鳴らしています。インタビューでは「プロパガンダは過去の時代にもあった。しかし、現在、事実だろうと、うそだろうと、自分の感情に沿うのであれば気にしないという風潮が広まっていることが気がかりだ」と述べました。

そのうえで、フェイクニュースが多い今の時代だからこそ、文学やジャーナリズムを通じて真実を追求し続けることが重要だと訴えました。

また、イシグロさんは次の作品に向けて、人工知能など技術革新のテーマに取り組んでいることを明らかにしました。

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171208/k10011252171000.html