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通称「日本カビ」と呼ばれる真菌カンジダ・アウリス(槇村浩一教授提供)

 平成21年に日本人研究者が「新種」として世界で初めて報告した真菌(カビ)「カンジダ・アウリス」(通称・日本カビ)が、欧米やアジアで真菌感染症として初めてのパンデミック(世界的流行)を引き起こしていることが分かった。
抵抗力の弱い入院患者が死亡する事例も報告され、警戒が必要だ。

 日本カビは、帝京大大学院医学研究科の槇村浩一教授が17年に70歳の女性患者の耳漏(耳だれ)から発見した。
このとき見つかったカビは病原性が低く、抗菌薬に対する耐性も示さなかった。
ところがその後、韓国やインド、パキスタン、英国、米国、南アフリカなど海外でも同じカビが発見され、23(2011)年には韓国で患者が敗血症で死亡する事例が報告された。

 米国でも今年122例(昨年7例)の感染が報告され死者も多く出ており、英国でも8月までに200例以上の感染が確認された。
日本から広がったのではなく、もともと各国に同種のカビがあったとみられる。

 懸念されるのが、治療薬が効かない耐性化だ。
米国では9割以上の株が、最優先で選択される治療薬への耐性を獲得。
半分の株は2種類以上の抗菌薬に耐性を持っていた。全抗菌薬が効かない株も4%あったという。
韓国やインドでも耐性化が確認されている。

 槇村教授は「日本では明らかな耐性化は認められていないが、海外で強毒耐性化した真菌が、健康な人の体にすみ着いて日本に持ち込まれる可能性は高い」と話している。


日本カビが世界的流行 海外で強毒化し死者も、上陸警戒
産經新聞:2017.10.8 05:00更新