空気を読めない「KY」が話題となったのは10年ほど前である。元は若者のはやり言葉だったが、状況判断できない人を指したりもし、
第1次政権時代の安倍晋三首相もよく指摘された。閣僚の相次ぐ不祥事などで無念の退陣に至った首相には苦い記憶であろう
▼さまざまな物事の決定が理性的な判断でなく、その場の「空気」に左右される。日本人、日本社会の特徴ともされる「空気」だが、
さて、それを読みすぎた結果なのか、どうか。何ともふに落ちない森友学園(大阪市)問題である
▼政治家の関与は今のところ、確たる証拠に乏しい。ではなぜ、国有地の安値売却や小学校設置認可が異例の迅速さで実現したのか。
便宜を図る理由があるとすれば、学園が首相や首相夫人との近さを誇示し、財務省や大阪府がそれをおもんぱかったのでは。そんな深読みをする向きもある
▼あす、国会で学園理事長の証人喚問が行われる。陰で動いた政治家の有無を含め、真相に少しでも近づきたい
▼ただ、与党の本気度は疑問だ。当事者の一方である財務省は呼ばない。かたくなに参考人招致を拒否していながら、
首相からの寄付金という真偽不明の暴露話には一転「侮辱だ」と国会で白黒つけようとする。あまりに身勝手過ぎないか
▼もやもやした国民の空気を読まずに、一件落着とするようでは困る。
(2017年03月22日 08時00分 更新)
http://www.sanyonews.jp/article/505267/1/?rct=column