ロシア、「日本カード」下がる価値 条約で広がる溝
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 プーチン氏は常に世界戦略の中で日本の「使い道」を探る。日本との交渉は、ロシアのウクライナ侵攻に対して制裁を発動
した日米欧の結束を揺さぶる手段と位置付けてきた。米ロ関係が修復に向かえば「日本カード」の戦略的な価値は下がる。
 18年11月の日ロ首脳会談で「平和条約締結後に歯舞群島、色丹島を日本に引き渡す」と明記した1956年の日ソ共同宣言を
交渉の基礎とすると合意したのを機にロシアの要求はエスカレートした。北方領土のロシア主権をまず認め、領土を引き渡した
場合に米軍が展開しないと明文化するよう求めた。日本が導入する米国のミサイル防衛システムへの批判も強めた。

 ロシア外務省には「領土問題の2島決着は歴史的な好機」との声もあるが少数派だ。世界経済国際関係研究所のシュビドコ
日本部長は「大統領府ではロシア側が動く必要はないとの意見が大勢」と指摘する。北方四島の帰属問題の解決を平和条約
の前提とする主張を後退させ、早期妥結にこだわる安倍晋三首相の親ロ姿勢が変わる可能性は低いとの読みもあるという。