北海道開拓の村」学芸員の細川健裕氏は、学校への出前授業や学習用資料の作成に携わっている。
岩手県大船渡市出身の同氏は「かつて北海道に住んでいた人たちはどのような人々だったのか、
これからどのように文化を築いていくのか、アイデンティティをどのように築いていったらいいのか、
北海道150年を機に考える場を提供していきたい」と語った。

 JR北海道車内広報誌「THE JR Hokkaido」ライターとして道内各地を取材しているフリーライター・編集者の北室かず子氏は、
北海道のお米「ゆめぴりか」はモチモチしていておいしいお米だとし、「お茶碗一杯のお米を作るのに2リットルの水100本必要」だと紹介した。
徳島県出身の北室氏が取材の中で「稲作に必要な水を確保するのは土木工学などすべてのモノの結晶でここまで来たのがわかった」という。
「北海道は、ユーラシア大陸と太平洋をつなぐ『位置』、豊かな北の海や珍しい産物の『恵み』、
科学技術の時代の幕開けと当時に開発が始まった『とき』の3つの奇跡が重なったことを伝えたい」と述べた。

画像:フリーライター・編集者の北室かず子氏 もっと知ってほしい北海道の魅力と課題

 石本教諭は、「ほっかいどう学をすすめていくと、教科書の範囲を超えてしまう。専門家と一緒に授業を作っていくことが必要。
学校のなかだけで閉じた授業ではなく、いろいろな人の力を借りながら授業づくりをしていきたい」と抱負を語った。

 コーディネーターの新保校長は、「昔は北海道内の小学校では『わたしたちの北海道』という副読本が小学校で1年間使われていたが、
今は北海道に関する副読本がない。現在は『北海道』という学習が弱く、4年生で現状を軽く触れる程度になってしまった。
社会科の学習時間が減少し、都道府県の記述量も減っており、学習量はわずか。ほっかいどう学を教える時間をもっと増やしていきたい」
と締めくくった。

 リアルトークセッションでは、北海道内・道外出身のさまざまな立場から「ほっかいどう学」の取組みが紹介された。
北海道での「地域」の魅力を伝える取組みは、道内だけでなく、道外の教育現場でも参考になりそうだ。