関西私鉄が「ルック・イースト」 東京五輪見据えて首都圏での不動産事業強化

http://www.sankei.com/west/news/150325/wst1503250094-n1.html

関西の私鉄各社が相次いで首都圏での不動産事業の強化に乗り出している。2020年の東京五輪開催などで首都圏ではオフィスやマンションなど不動産需要が大幅に増えるとみて、専門組織の立ち上げなどを進める。首都圏での不動産事業は関西よりも高い収益が見込め
各社は成長の柱として期待を寄せている。(橋本亮)
各社が首都圏での不動産事業を強化するのは、少子化に伴って沿線人口の減少が見込まれる中、「関西だけの事業展開ではいずれじり貧になる」(関西私鉄首脳)との危機感があるためだ。一方、人や企業の一極集中が続く東京を中心とした首都圏は
「関西に比べ投資するには安定的で、魅力的な市場」(同)に映る。
 近畿日本鉄道子会社の近鉄不動産は4月の「法人営業センター東京」(東京都新宿区)の開設を機に、首都圏での法人向け不動産仲介事業に参入する。これまでの新築マンション販売に加え、オフィスビルの取得や大規模な再開発プロジェクトへの参画を目指し
首都圏での事業拡大を図る。

 阪急電鉄も4月1日付で不動産部門に「首都圏事業部」を新設。平成27年度からの4年間で首都圏での市街地再開発事業などに最大1千億円の投資を見込む。南海電気鉄道は27年度から3年間で計1100億円の投資を計画
そのうち半分程度を首都圏での不動産事業などに充てる方針だ。

また、京阪電気鉄道は不動産投資信託(REIT)事業の準備を進める。首都圏のオフィスビルや商業施設への投資を念頭に、投資家から集めた資金で不動産を購入し、賃料収入や売却益を投資家に分配する。
 東京では五輪開催に向けたインフラ整備や大規模な再開発事業が予定されているうえ、不動産市場に大規模な金融緩和や円安を受けた国内外の資金が流入して活況を帯びている。
 それだけに、「物件や用地の価格が上昇しており、下手をすれば高値づかみになりかねない」(関西私鉄関係者)との懸念も大きい。各社は情報収集を続けながら投資のタイミングなどを慎重に判断する考えだ。