銀行迫る「不良資産問題」、店舗・設備に減損リスク、低金利・人口減で収益低下。
2018/05/19 日本経済新聞 朝刊
 銀行が持つ1万3000を超える店舗やシステムが経営を揺るがしかねない存在になってきた。収益性が下がって価値が目減りした資産の減損
処理を迫られ、赤字に転落する銀行が出てきた。低金利や人口減で収益基盤が細っている上、金融とITを融合したフィンテックの台頭で設備が陳
腐化するリスクも高まってきたことが背景にある。全国で10兆円に上る銀行の固定資産の「不良資産化」に金融庁も監視を強めている。
 「将来の収益を慎重に見積もり、もうかっていない店舗を減損した」。2018年3月期決算で7期ぶりの最終赤字に転落した福島銀行。森川英治
社長は聞き慣れない損失を理由に挙げた。12支店の土地・建物の価値が、収益力に照らして査定し直すと4億円減ったというのだ。
 東北の第二地銀が踏み切った会計処理に各行は衝撃を受けた。今後の銀行業を揺るがしかねない会計基準の問題が浮き彫りになったためだ。
 06年3月期に強制適用された固定資産の減損処理(3面きょうのことば)。店舗などを収益性の観点で評価。価値が下がり回復の見込みがない
場合、売却した場合の時価に関係なく失った価値を損失計上するルールだ。