神津 現状では展望持てぬ

 続いて神津氏だ。連合の悩みは深い。
来年の参院選では組織内候補が立憲から官公労系の5人(自治労、日教組、情報労連、JP労組、私鉄総連)、
国民から民間系の5人(自動車総連、電力総連、電機連合、UAゼンセン、JAM)が出馬予定で、事実上の股裂き状態だ。

 まずは選挙区候補者だ。

「一つ一つ候補を着実に擁立することで、与党を脅かすような雰囲気を積み重ねることが大事だ。それが遅れている。
支持率にも変化が出ないし、残念ながら立憲も低下傾向だ」

 立憲は複数区では国民の現職がいるところでも自前の候補を立てる、という。

「それぞれが頑張る。状況によって力を合わせる。ならいいのだが、喧嘩(けんか)ばかりしているように見える。
例えば、北海道選挙区(定数3)は国民1、立憲1が擁立を決めているが、立憲はさらにもう1人出すという。
自民に漁夫の利を与えてしまうのではないか」

「是々非々は大事だが、それだけでは野党がじり貧になってしまう。懐の深さみたいなものが欲しい」

 比例区はどうか?

「統一名簿が実現されてしかるべきだ。有権者からしても野党が力合わせをしていると見える象徴が統一名簿だと思っている」

 枝野氏はありえないと。

「僕らも現時点での展望は持てない。だが、そういう姿が見えないと野党の低迷状況は脱せないと思う」

 枝野氏に対しては?

「キーパーソンが枝野さんと私も思っている。
立憲民主党の枝野さんだけではなくて、野党の力を発揮できるリーダーとしての枝野さんだと期待している」

 神津氏は座して死を待つわけにはいかない、とも言う。

 国民民主党の支持率が0〜1%ということは、比例区で5人の民間系の組織内候補がボロ負けすることを物語っているからだ。

 ただ、枝野氏の立場は明快だ。共闘よりも連携だ。

 黄昏(たそがれ)時を迎えた安倍自民に対し、どうすれば、アンチ安倍勢力を極大化できるのか。野党は戦略的に重要な局面を迎えている。