【シリコンバレー=渡辺直樹】短文投稿サイトのツイッターが日本時間1日午後10時ごろから、一部利用者の間でつながりにくくなっていたことがわかった。買収した米起業家のイーロン・マスク氏は日本時間2日、利用者が1日に読めるツイートの数を一時的に制限したとツイッター上で明らかにした。仕様の変更が影響している可能性がある。

インターネット上の障害を推定するサイト「ダウンディテクター」によると、つながらないという報告は一時5000件以上に及んだ。少なくとも米国、欧州、日本で利用者からサービスが使えないという声が出ていた。ツイッターを運営するX社からコメントは得られなかった。

ツイッターは6月30日ごろから、ウェブを通じて閲覧しようとすると、改めてログインが必要となる措置を実施していた。「スクレイピング」と呼ばれ、人工知能(AI)や自動プログラムが大量のデータをツイッターから集める手法に制限を加えるのが狙いだ。

マスク氏は自らのツイッターアカウントで「一時的な緊急措置だ。データが略奪されすぎて一般利用者のサービスが低下していた」と投稿し、AIが学習にデータを利用していることに不快感を示していた。

マスク氏はさらに「極端なレベルのデータスクレイピングとシステム操作に対応するため」として、認証済みの利用者は閲覧を1日当たり6000件、認証していない利用者は300〜600件に制限したと明らかにした。こうした措置は認証済み利用者で同8000件、非認証利用者で400〜800件にすぐに引き上げるという。

ツイッターはこれまで投稿のデータを外部の企業や研究者が自由に活用できるオープン戦略を貫いてきたが、マスク氏は本人認証や外部のソフト・データ連携への課金を強化して収益化を急いでいる。

ツイッターはマスク氏による2022年10月の買収以降、一般の利用者が急に使えなくなる事態が相次いでおり、3月にも画像やリンクが読み込めなくなる不具合が発生した。

3月に発生した不具合では外部アプリとデータ連携するためのAPIと呼ぶ機能の変更が障害の原因になった。ツイッターは大幅に人員を削減した一方で、サービスの仕様変更を繰り返しており、利用者の間で混乱が広がっている。
2023年7月2日 2:59 (2023年7月2日 7:29更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0144I0R00C23A7000000/