2023年2月1日 22:27(2月1日 23:40更新)

 【函館】函館市内の大型商業施設「テーオーデパート本店」の8月末での閉店が決まり、人口減少に加え、コロナ禍の直撃を受けた地域経済の苦境があらためて浮き彫りになった。市内では2019年の老舗百貨店「棒二森屋」、22年のイトーヨーカドー函館店と大型商業施設の閉店が続き、小売業界の衰退に歯止めがかからない状態だ。
 「声をかけたテナントからは『テーオーには出店できない』との返答の繰り返しだった」。テーオーホールディングス(HD)の小笠原康正社長は1日の記者会見で、ここ数年、道内外の有望なテナント500社以上に出店を断られ続けてきたことを明らかにした。
 市内の大型店の閉店で行き場を失ったテナントも、人口減少などに伴う市場規模の縮小を理由に「函館から撤退する」という声が多かったという。テーオーデパート本店で営業する靴店「ブリックマルト」の佐々木小百合店長(57)は「店頭でサイズを確認してネットで買う人も増えてきた。コロナ禍で客も減った」と話す。
 ここ数年は運営会社のテーオーデパート(函館)単体で赤字が続き、22年5月期決算ではグループ連結子会社10社で唯一の不採算会社となり、閉店のうわさは絶えなかった。市内の経済関係者は閉店決定に「驚きはない。背に腹は変えられず、デパートを切る決断をしたのだろう」とみる。

https://www.hokkaido-np.co.jp/article/795864