【ロンドン=佐竹実、シリコンバレー=佐藤浩実】米ブルームバーグ通信は25日、米半導体大手エヌビディアが英半導体設計アームの買収計画を取り下げる準備に入ったと報じた。エヌビディアは2020年、アームの親会社であるソフトバンクグループ(SBG)と約400億ドル(約4兆5600億円)の大型買収で合意した。各国が競争環境に与える影響などを調査しており、米連邦取引委員会(FTC)は反トラスト法(独占禁止法)に基づき差し止めを求める訴訟を起こしている。

ブルームバーグが関係者の話として報じた内容によると、エヌビディアは取引先に対して買収が成立しないとの見方を伝えた。当局の承認を得るための手続きにほとんど進展がないとしている。SBGは、アーム売却が成立しなかった場合、アームを上場させることを検討しているという。

エヌビディアは25日、「取引がアーム(の成長)を加速させ、競争とイノベーションを強化する機会をもたらすと規制当局に報告しており、この見解を維持する」との声明を出した。SBGは「引き続き本取引が承認されることを願っている」(広報)とコメントした。

エヌビディアとSBGは20年9月に、エヌビディアによるアーム買収で合意した。エヌビディアは自社株式を対価の一部とし、SBGはエヌビディアの大株主となる計画だ。

アームは半導体の設計図をエヌビディアを含めた顧客企業に提供してライセンス収入を得ている。エヌビディアには、技術力の高いアームを傘下に収めることで人工知能(AI)向け半導体などの競争力を高める狙いがある。米半導体大手のクアルコムやインテルなどは、競合企業であるエヌビディアの傘下にアームが入ることで価格面などで不利益を被りかねないと懸念している。
以下ソース
2022年1月25日 23:37 (2022年1月26日 9:37更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR25DRN0V20C22A1000000/