年明け初出勤となった1月4日、みずほ銀行の支店長は取引先への挨拶回りもそこそこにシステム障害の謝罪と説明に追われた。手にしていたのはA4紙3枚の「12月30日発生事案に関する説明資料」だ。

 みずほ銀行は12月30日にATMやインターネットバンキングで他の銀行に一時振り込みができない不具合が発生した。午後3時30分からの約1時間、全銀システム経由の他行宛て振り込みがエラーとなったものだ。その結果、当該時間帯に受け付けた取引約2700件のうち約300件につき、当日中の処理が未了となり、翌日以降に持ち越された。

 説明資料はその原因について取引先に理解を求めるために作成されたもので、次のように記されている。

「12月の最終営業日については、全銀システム経由の他行宛振込に係るコアタイムからモアタイムへの切替時刻は15時20分ですが、当行においては16時20分に設定しておりました」

 ここでいうモアタイムとは、平日夜間、休日の即時入金のためのシステムが稼働する時間帯であり、コアタイムとはモアタイム以外の、いわゆる営業時間内を指している。問題となった12月30日の全銀システムの設定ではコアタイムは午後3時20分までで、3時20分以降はモアタイムに切り替わる。一方、みずほ銀行は午後4時20分までコアタイムとし、それ以降をモアタイムに設定した。このため両社のシステムでモアとコアの違いが生じた約1時間、システムが接続できなくなったわけだ。

 なぜこんな初歩的ミスが起きたのか、みずほ関係者によると「毎月末は振り込み手続きが集中するため、コアタイムを午後4時20分まで延長しています。全銀システムも同様に4時20分までコアタイムを延長しているので、システムのつながりに問題はありません。しかし、年末の最終営業日については、全銀システムは毎月末と違い午後3時20分までとするルールでした。にもかかわらず当行は毎月末と同じように4時20分まで延長してしまったのです。担当者が設定を誤ったことが原因と言わざるを得ません」。いわば人災なのだ。金融庁は即座に銀行法に基づく報告徴収命令を出し、原因や再発防止策などについて報告を求めた。

 だが、みずほ銀行は11日にも、法人がインターネット上で振り込みや口座情報の照会ができる「みずほe-ビジネスサイト」で一時障害が起きた。これで昨年2月以降のシステム障害件数は10回を数える。みずほのシステム障害は経営者が交代しても変わらないかもしれない。

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