米製薬大手のファイザーは9日、開発中の新型コロナウイルスのワクチンの治験で感染を防ぐ有効性が90%を超えたとする初期データを発表した。同社は11月中にも米食品医薬品局(FDA)にワクチンの承認を申請するとみられる。世界各国で新型コロナの感染ペースが高まるなか、ワクチン実用化に向けた動きが本格化してきた。

ファイザーによると、独ビオンテックと共同開発中のワクチンの治験に参加した人を調べたところ、9割以上の対象者に抗体が生じる効果があったという。ファイザーは副作用が無いかなどの安全性を確認しており、データが集まり次第FDAに緊急承認を申請する。

中国やロシアはすでに特例的に一部ワクチンに対して使用許可や緊急承認という形で実用化を進めている。FDAは拙速な開発のリスクを指摘しており、ワクチンの安全性が課題になっている。

ファイザーは規制当局の承認が得られれば、年内に世界で最大5000万回分(2500万人分に相当)、21年末までには最大13億回分のワクチンを製造する計画だ。日本政府は同社から1億2000万回分のワクチンの供給を受けることで基本合意している。
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