三菱パワー(横浜市)は29日、欧州で産業用燃料電池を受注したと発表した。海外での受注は同社にとって初めて。エネルギー関連企業が加盟するドイツの研究機関向けで、熱や電力を供給するシステムの中核設備として、2022年3月までに稼働する。欧州では水素などを活用した次世代エネルギーシステムの導入が進む。受注を機に海外でエネルギー関連設備の販売拡大につなげる。

ドイツのガス・熱研究所(ノルトライン・ウェストファーレン州)が導入する熱電併給システムに使う電池を納める。

同社の燃料電池は水素のほか、天然ガスやバイオガスなど、環境負荷の少ないさまざまな燃料に対応できるのが特長。稼働するシステムは、電力や熱を供給するだけでなく、既存の電力網から独立した分散型電源としても運用。周辺のオフィスや住宅にもエネルギーを供給できるようにする。

三菱パワーは日本では既に9基の燃料電池の納入実績があるが、海外での納入は初めて。同社は水素を使ったガスタービンなど、次世代エネルギーの活用を見据えた設備の開発に注力している。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65598020Z21C20A0XA0000/