【ロンドン=佐竹実】スウェーデンの通信機器大手エリクソンは21日、次世代通信規格「5G」の商用契約が9月末時点で112件に達したと発表した。中国の同業、華為技術(ファーウェイ)排除の動きが欧州で広がっていることが追い風で、契約数は6月末に比べ13件増えた。

同社は通信会社に中核システムや基地局(アンテナ)などの設備を提供している。新型コロナ禍でも受注を増やしており、同日発表した2020年7〜9月期決算は売上高が575億スウェーデンクローナ(約6900億円)と前年同期比1%増。純利益は54億スウェーデンクローナで、前年同期の62億スウェーデンクローナの赤字から大幅に改善した。

英国は7月に5Gからのファーウェイの排除を決めた。同社製品を使う通信会社はエリクソンやフィンランドのノキアなど他社の製品に替える必要がある。エリクソンは9月には、スペインのテレフォニカなどと相次いで5Gの商用契約を結んだ。

エリクソンは成長市場である中国で大手3社に5Gの通信機器を納入しており、業績を押し上げた。ただ、中国事業は不透明な要因もある。スウェーデン政府が20日に、ファーウェイ排除を決めたためで、ファーウェイはこれに反発している。中国との関係が悪化すれば、今後エリクソンの中国関連事業に影響が出かねない。
2020/10/22 2:28 (2020/10/22 7:58更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO65300510S0A021C2000000/