格安航空会社(LCC)のエアアジア・ジャパン(愛知県常滑市)は5日、12月5日で全4路線を廃止すると発表した。日本事業からの事実上の撤退となる。新型コロナウイルスの感染拡大による航空需要の低迷で資金繰りが悪化しており、事業継続を断念した。新型コロナの影響による国内の航空会社の事業撤退は初の事例となる。

同日、全路線の廃止を国土交通省に届け出た。社員は一部を除き解雇する。エアアジア・ジャパンは11年にマレーシアが本社の東南アジア最大のLCC、エアアジアと全日本空輸(現ANAホールディングス)とが合弁して発足。13年の提携解消で一度日本から撤退した。

その後、日本市場を有望視していたエアアジアのトニー・フェルナンデス最高経営責任者(CEO)が楽天などから共同出資を受け、14年に再参入した。中部国際空港を本拠地にする唯一の航空会社で、新型コロナの流行前までは国内線は札幌便や仙台便、国際線は台北便など4路線を運航していた。

新型コロナの流行が広がった20年4月から全便を運休し、8月に福岡便の新規就航を含めて復便した。ただ利用が想定より回復せず、10月から再び全便運休となっていた。6月以降に希望退職を募り約300人の従業員のうち2割に当たる70人弱が応じたが、需要の急減に対応しきれなかった。
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