富士通の時田隆仁社長は5日、東京証券取引所で1日にシステム障害が発生し、全銘柄の取引が終日停止されたことについて「障害の原因となった機器の納入、システムを構築した企業のトップとして、多くの皆様に多大なるご迷惑をおかけしたことを心よりおわびする」と謝罪した。問題発生以降、時田社長がシステム障害について言及するのは初めて。

自社のデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた取り組みを紹介するオンライン会見の冒頭、システム障害について謝罪の言葉を述べた。「原因究明と再発防止に全力で取り組む」と話し、東証と連携して速やかに再発防止策を講じるとした。

東証で1日に発生したシステム障害は、売買注文を受け付ける基幹システム「アローヘッド」が引き金となった。運用をつかさどる記憶装置のうち1台で、制御用のメモリー(主記憶装置)が故障した。故障が発生すると本来は自動的に代替機に処理が切り替わるはずだったが、機能しなかったという。東証は1日の会見で、「富士通と共同で原因の解明を進めている」と説明した。

東証は2012年にもアローヘッドのシステム障害を起こしている。このときはサーバーで故障が発生し、適切に代替機に処理が切り替わらなかった。富士通は当時も東証と共同で原因究明にあたり、再発防止策を講じた。装置の種類は異なるが、代替機に切り替わらなかった点は今回も共通する。

金融庁は2日、日本取引所グループと東証に対し、金融商品取引法に基づく報告徴求命令を出した。装置の点検が十分だったかや、内部管理体制などについて報告を求める。
2020/10/5 10:33
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64607090V01C20A0000000/