米アマゾン・ドット・コムは28日、有料会員向けのネット通販のセール「プライムデー」を世界19カ国で10月13〜14日に開くと発表した。今年は新型コロナウイルスを受けた配送体制の強化を優先し、例年より3カ月遅れとなる。今回は初めて中小企業の出店者を対象に計1億ドル(約105億円)の支援を実施。クーポン券を配布するなどして利用者に購入を促す。

プライムデーは2015年に始まった会員向けの特売イベントで、今回が6回目。日本、米国などのほか新たにトルコ、ブラジルを加えた19カ国で開催する。特売対象の商品数は100万点以上で過去最多。10月6日から事前セールも始める。

今回から外部事業者が出店する「マーケットプレイス」で中小企業を支援する。国内では10月12日までに中小の店舗で対象商品を1000円以上購入した会員に、1000円分のクーポンを配布する。クーポン代は全額アマゾンが負担する。中小店舗の商品を特集した特設サイトも開く。

アマゾンジャパン(東京・目黒)は「利用者に多様な商品を提供するためにも、中小企業の出品者は極めて重要だ」と強調する。国内の中小出店者の平均売上高(19年6月〜20年5月)は700万円超で、前年同期から100万円前後増えた。アマゾンジャパンは値引き分の一部負担を取引先に求めていた問題が明らかになったが、返金を含む改善計画を公正取引委員会に提出し、10日に認定された。

新型コロナによるネット通販の需要増を受け、アマゾンは配送の遅れなどを解消するため、物流施設や配送網の整備に力を入れてきた。プライムデーの開催について、「物流施設内の消毒や安全確保、従業員の待遇改善などが一区切りし、準備が整った」(アマゾンジャパン)と話す。
2020/9/28 14:00
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO64317010Y0A920C2000000/