日立製作所は18日、イタリアの交通事業者と同国北部のトリノ市内を走る路面電車の新型車両70編成を供給する包括契約を結んだと発表した。まずは2023年までに30編成を、6340万ユーロ(約73億円)で供給する予定だ。

日立と契約を締結したのは、トリノ市を中心に鉄道やバスを運行するグルッポ・トリネーゼ・トラスポルティ(GTT、トリノ)社。新型路面電車は現行車両よりも収容能力を高め、車いす専用スペースや空調システムも完備するなど乗客の利便性や快適性に配慮した設計となっている。21年秋から納入を始め、22年から第1編成が運用される予定だという。

日立は15年にイタリアの大手鉄道車両メーカー、アンサルド・ブレダを買収し、以来同国での車両事業に積極的な投資をしてきた。これまでにフィレンツェ市内を走る路面電車を製造したほか、高速鉄道やリージョナル・トレイン(地域間列車)の製造にも携わってきた。これらの実績が認められて今回のトリノでの契約締結に至ったという。

イタリアでは現在、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて政府による移動制限措置が敷かれている。日立も一時鉄道車両の工場を休止していたが、現在は段階的に業務を再開している。

2020/5/18 14:38
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59234630Y0A510C2XA0000/