新型コロナウイルスの感染拡大による東京五輪・パラリンピック開催延期を受け、スポンサー企業が対応に追われている。関連商品の展開スケジュールなどへの影響は必至で、追加の費用負担を巡る懸念も出ている。

「1年延期ならまだ支払う必要があるのか。いくらかかるんだ」。あるスポンサー企業のトップは不安を募らせる。国内のスポンサー契約は2020年12月31日までだが、追加負担が求められるかは不透明だ。

荷物輸送などで「オフィシャルパートナー」を務めるヤマトホールディングスはすでに搬入済みの荷物があり、延期になれば追加の保管料が必要になる。費用負担については「これから組織委員会と検討していく」(同社)という。

関連の商品・イベント展開にも影響は及びそうだ。アシックスは国内最高位スポンサー「ゴールドパートナー」として、日本選手団向けのユニホームの提供や一般向けの応援グッズ販売などを担う。「現時点で具体的な対応は未定。正確な情報収集に努めている」と述べる。

「オフィシャルパートナー」のアース製薬は「五輪オリジナル商品の販売を延期するかは自社判断できない。日本オリンピック委員会(JOC)などと相談して決める」。

ゴールドパートナーのJXTGエネルギーは、聖火リレーのルートに合わせて予定していた全国15カ所のウオーキングイベントも中止する。販促キャンペーンで展開していたチケットの取り扱いも含め、今後については「引き続き組織委員会などと連携を取り、状況を確認する」(同社)。関連CM放送も中止する。

トヨタ自動車は「ワールドワイドパートナー」として選手や観客らの移動用に電気自動車(EV)や燃料電池車(FCV)を提供する計画だった。「延期によってどのような影響が出るか担当者が至急、検討している」という。

2020/3/25 15:30
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57205670V20C20A3000000/