[東京 23日 ロイター] - 新型コロナウイルス感染拡大に伴う需要減に見舞われているANAホールディングス(9202.T)傘下の全日本空輸は、新たに採用した客室乗務員の入社時期を予定より後ろ倒しする。大幅減便で人員余剰となっているが、雇用は維持し、新人客室乗務員の入社時期の延期や客室乗務員5000人の一時休業などで難局を乗り切る。手元資金の減少に備えるため、金融機関からの借り入れも検討している。関係筋が明らかにした。

全日空は、今後の国際線における新規就航や増便に備え、客室乗務員を大量に採用しており、4月以降に計658人の客室乗務員が訓練の関係上、段階的に入社する予定だった。新型コロナ感染拡大で大幅減便を余儀なくされているため、それぞれの入社時期を1カ月程度先送りするが、10月末までには全員入社する計画だ。事態の正常化に備え、人材は確保する。

新型コロナ感染拡大防止のため、日本政府が人の集まる大規模イベントなどの自粛を要請。日本政府と世界各国が入国・出国・行動制限などを実施しており、新型コロナ問題発生以降、全日空の国内線は約15%、国際線は約40%の減便を強いられている。問題の長期化も想定されることから、金融機関からの借り入れの実施に向け、借り入れ期間や調達規模、条件などを現在、検討しているという。

同社はすでに客室乗務員約5000人を対象に積極的な一時休業制度の活用を労働組合側に提案。一般職の労働条件見直しについても労使間で協議している。役員報酬や管理職賃金の削減も検討中だ。

現時点では、新型コロナの終息時期を5月に仮置きした緊急対策を策定し、6月以降も続く場合の対応策も並行して講じる。3月中に公表する予定だった2022年度までの中期経営計画の発表も先送りする。

ANAの広報担当者は、今後の財務状況などについてはコメントできないとした上で「乗客と従業員の健康と安全を常に最優先で考えている」と述べている。
https://jp.reuters.com/article/ana-airline-japan-idJPKBN21A1R3?il=0