経営再建中のジャパンディスプレイ(JDI)は14日、2019年10〜12月期の決算内容を記した四半期報告書の提出期限の延期を関東財務局へ申請すると発表した。決算の公表を延期するのは2度目。14日の提出を目指していたが、過去の決算で在庫を過大計上していた疑いなどをめぐり第三者委員会の調査に時間がかかる。新たな提出期限は4月13日で、過去の決算も訂正する見通し。

JDIは19年11月、懲戒解雇した経理担当の元幹部から「経営陣の指示で過去に不適切な会計処理を行っていた」との通知を受けた。同社の執行役員を含む特別調査委員会が調べたところ、累計約100億円の在庫を過大に計上していた疑いが判明した。12月に設置した社外の弁護士などで構成する第三者委員会は、JDIが事業を始めた12年4月から19年9月までの期間を調べている。

元幹部などは在庫を期末に増やして一時的に利益をよく見せようとしていた可能性がある。調査は引当金の未計上など複数の項目にもわたり、多くの退職者にインタビューなどが必要になっている。不正の内容と決算への影響額は3月下旬に確定する見込みで、第三者委員会が4月中旬にかけて報告書をまとめる。

JDIは独立系投資顧問会社いちごアセットマネジメントから最大1008億円の出資を受け入れる契約を結んでいる。3月25日には、出資受け入れを決める臨時株主総会を開く予定だ。第三者委員会の調査結果や四半期報告書の提出は出資の前提条件とはなっておらず、株主総会を経て26日に最初の資金を受け取りたい考えだ。

金融商品取引法で企業は四半期末から45日以内に四半期報告書の提出を義務付けられている。JDIは当初2月13日に決算発表を予定していたが、1月末に延期を発表していた。14日までの報告書提出も難しくなったため今回改めて延期を申請した。
2020/2/14 10:21
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO55615320U0A210C2EAF000/