2018事務年度(18年7月〜19年6月)に全国の国税局などが手掛けた法人税の調査で、申告漏れの総額が1兆3813億円と17事務年度に比べて38%増となった。国税庁が8日発表した。海外取引に関連した申告漏れは約6968億円と、17事務年度に比べて約9割増加した。

約9万9千社を調査し、約7万4千社で申告漏れなどがあったという。追徴税額は17事務年度と同水準の1943億円だった。

同庁は18事務年度の申告漏れの総額が増加した要因を明らかにしていない。関係者によると、ソフトバンクグループ(SBG)の資本取引をめぐる約4200億円の申告漏れが影響したとみられる。

SBGは、16年に買収した英アーム・ホールディングスや子会社株をめぐる資本取引などによって多額の損失が発生。国税当局は損失の計上時期に誤りがあるとして申告漏れを指摘した。追徴税額はなかった。

一方、国税庁は、国際的な脱税や租税回避を防ぐために各国の税務当局と金融口座情報を交換する新制度(CRS)を活用した具体的な調査事例も公表した。

札幌国税局が手掛けた事案では、金融商品の投資運用業務を行う企業の代表者が海外で保有していた預金口座情報をCRSで入手した。

海外口座には多額の残高があり、調査の結果、顧客から受け取る手数料の一部を海外口座で受け取り、収入から除外していたことが判明した。3700万円の申告漏れを指摘し、重加算税を含めた追徴税額は1400万円となった。

2019/11/8 16:45
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51953770Y9A101C1CR8000/