花王は1日、人の肌表面に極薄膜を形成して肌をケアする「人工皮膚」を簡単に作れる小型機器を12月4日に発売すると発表した。パナソニックが機器を製造し、花王が専用の添加液などと一緒に販売する。第1弾としてスキンケア商品として投入するが、将来的には医療など幅広い用途に応用し、1000億円規模の事業に育てる。

花王が2018年11月に発表した人工皮膚技術「ファインファイバー」を搭載した。直径1万分の1ミリメートルの極細繊維を肌に吹き付けて生成する。凹凸がなく、見た目では分からないのが特徴だ。

機器はスマートフォンほどのサイズで、片手で使用できる。使い方は繊維のもとになる液体を機器に入れて肌に噴射するだけ。繊維の隙間から液体を効果的に吸いこむため、スキンケア効果の持続力が高まる。将来的には、肌のシミやシワを目立たないようにできる可能性もあるという。

機器はパナソニックが製造する。独自の微粒子「ナノイー」を噴射するドライヤーなどを手掛けており、吹き付ける小型デバイスのノウハウを応用した。

花王が専用の添加液や美容液と合わせて販売する。機器の価格は税別5万円。添加液は45回分の容量で同8000円。これとは別に高価格帯ブランド「est(エスト)」と「SENSAI(センサイ)」から専用の美容液(同1万2000円)を発売する。計7万円の初期費用で人工皮膚が生成できる。

年明けには海外展開も予定している。アジアではエストブランド、欧州ではセンサイブランドとして販売する。地域ごとに異なる主要ブランドに合わせて展開する。まずは化粧品用途で100億円の売上高を目指し、将来的には医療などにも応用し、1000億円規模の事業に育てる目標だ。
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https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51681960R01C19A1XQH000/