公正取引委員会は31日、プラットフォーマーと呼ばれる巨大IT(情報技術)企業の調査報告書を公表した。通販サイトやスマートフォンのアプリストアを巡る取引を対象にした。運営会社が検索結果の表示順位をわざと操作すれば、独占禁止法に違反する恐れがあると指摘した。そのうえで検索結果や広告枠について説明の開示を巨大ITに求めた。

公取委は今年1月に調査を始め、通販サイトとアプリストアを運営するプラットフォーマーと出店者計93社に聞き取り調査した結果をまとめた。楽天などが運営する通販サイトでは、消費者は多くの商品を見比べて買うことができ、出店企業にはサイトを一から構築せず参入できるメリットがある。ただ、運営側が競合他社を排除したり、出店者に不利な規約を押しつけたりする例があり、問題となっていた。

報告書ではスマホに他社製のアプリストアをダウンロードできなくしたり、他のサイトより安い価格での販売を求めたりすると違反になりうるとした。公取委は2016年に他の販売経路より有利な条件での出品を求めたとしてアマゾンジャパンの審査に乗り出した経緯がある。

聞き取りでは、商品検索やアプリストアの表示順位がどう決まるか不透明だとの訴えも多く集まった。運営側は恣意的に操作していないと説明したが、「あるサイトでは広告費を支払うと表示位置が上がる」との指摘が出た。

通販サイトなどでは運営側も自ら商品を出して他の出店者とライバルになることがある。自社の商品を検索結果の上位に表示する行為などが違反にあたる恐れがあると整理。順位決めのしくみや広告費の影響の有無を開示することが望ましいとした。政府は巨大IT規制の一環で来年の国会に提出を予定する新法で、検索アルゴリズムの開示などを求める方向だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51623550R31C19A0MM8000/