内閣府が9日発表した8月の景気ウオッチャー調査(街角景気)によると、2〜3カ月後の先行き判断指数は39.7と前月から4.6ポイント低下し、前回の消費増税の前月にあたる2014年3月(33.5)以来5年5カ月ぶりの低水準となった。下落幅は16年6月(5.3ポイント低下)以来3年2カ月ぶりの大きさ。「消費増税とそれによる駆け込み需要の反動で、売り上げが大きく減少すると想定している」(南関東の百貨店)など増税後の需要減を懸念する声が多かった。

街角の景気実感を示す現状判断指数(季節調整済み)は42.8と前の月から1.6ポイント上昇(改善)し、4カ月ぶりに改善した。10月の消費増税を前に駆け込み需要への期待が押し上げた。内閣府はウオッチャーの見方を「このところ回復に弱さがみられる」に据え置いた。

家計動向が42.8と2.8ポイント上昇したことが寄与した。内訳では小売り関連が3.6ポイント上昇の42.6、サービス関連が2.8ポイント上昇の43.9だった。小売り関連では「消費増税を意識した買い物の傾向が強くなっている。特に4Kテレビなどの高価格商材、リフォーム関連の販売量が増えている」(北海道の家電量販店)といった声があった。

企業動向、雇用関連は低下した。「米中貿易摩擦の影響により、受注量、販売量共に減少している」(東北の電気機械器具製造業)など世界経済の先行き不透明感を指摘する声がみられた。

今回調査では「韓国」もしくは「日韓」に関するコメント数が現状判断で60と7月調査から倍増した。先行き判断では95と、7月調査(56)から大幅に増えた。日韓関係の悪化から韓国人旅行客の減少を懸念する声が多かった。香港情勢の旅行需要への影響を不安視する声もあった。

内閣府はウオッチャーの先行きの見方について「消費税率引き上げや海外情勢等に対する懸念がみられる」とまとめた。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

2019/9/9 15:14
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL09HY0_Z00C19A9000000/