帝国データバンク横浜支店(横浜市)は、10月に予定される消費増税に関して、神奈川県内の企業を対象とする意識調査をまとめた。約半数の企業が延期や現行税率8%の維持を求めるなど否定的な見解を示した。過半数の企業が「駆け込み需要はない」としたうえで、小規模企業などに軽減税率への対応の遅れや景気悪化に対する懸念なども高まっているという。

調査は6月17〜30日に神奈川県内の1048社を対象に実施し、423社の回答を得た。消費税率の引き上げに関しては、延期や税率の維持を求めるなど否定的な企業が全体の44.9%と半数近くを占め、「予定通り実施すべき」とする回答(44.0%)を上回った。

大企業の55.4%が消費増税を予定通り実施すべきだと回答したが、小規模企業では33.3%にとどまり企業規模ごとに温度差が生じた。企業からは「遅かれ早かれ増税は必要」(鉄鋼・非鉄・鉱業)と理解を示す回答がみられた半面、「さらに景気後退に結びつく懸念」(専門サービス)、「軽減税率により、かえってコスト増につながりかねない」(化学品製造)などの意見もあった。

増税を控えた高額商品の購入などの駆け込み需要について、「現在も今後もない」とする回答は全体の51.8%を占めた。「既にある」(7.3%)や「今後出てくる」(20.1%)を大幅に上回った。駆け込み需要は建設業界など一部にとどまっているという。一方、増税後は企業活動への影響は全体の47.8%が「マイナスの影響」と回答。不動産(69.2%)を筆頭に、金融、運輸・倉庫、小売、卸売の5業種で過半数の企業がマイナスの影響を懸念した。

帝国データバンク横浜支店は「消費税率の引き上げについて企業の見解が二分している状況が浮き彫りとなった」と指摘。軽減税率対応への負担増や現場の混乱などについて「政府や行政の制度に関する丁寧な説明や取り組み支援が必要だ」と結論づけた。横浜商工会議所の上野孝会頭は「中小企業に懸念はある。増税がスムーズに受け入れられるよう指導し、懸念を減らすようにしたい」と述べた。
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