米医薬サービス・調査会社のIQVIA日本法人は16日、1989〜2018年の国内医療用医薬品市場のデータを公表した。89年(平成元年)に5兆5260億円だった市場規模は18年(平成30年)に10兆3374億円と約30年で1.9倍に拡大した。抗がん剤が3.6倍に拡大するなど高額な医薬品が普及した。

89年に3280億円だった抗がん剤市場は18年には1兆2000億円に拡大した。「抗体医薬」と呼ばれるバイオ医薬品が登場したことで、平成後期(09〜18年)に急拡大した。製造方法も複雑で大量生産でもコストがかかることから薬価も高くなる傾向がある。

特に14年に世界に先駆けて販売されたがん免疫薬「オプジーボ」は発売当初、100ミリグラム73万円という価格がついた。仮に1年使用すると3000万円以上かかるという試算が出て「財政を破綻させる」などの批判が噴出。特例的に薬価が半額に引き下げられた。

平成前期(89〜98年)の売り上げのトップは抗生物質で、胃酸の分泌を抑えるような消化器系薬剤、抗がん剤がトップ3をしめた。ペニシリンの耐性菌が出現したことで、国内製薬各社が第2世代の抗生物質を開発。89年には国内市場の17%に当たる9600億円を抗生物質が占めた。

平成中期(99〜08年)に入ると、医薬品のトレンドは感染症から生活習慣病に移り、高血圧や高脂血症の治療薬が大きく伸びた。抗がん剤や糖尿病治療薬も大きく売り上げを伸ばした。

平成後期には抗がん剤がトップとなり、抗ウイルス剤や関節リウマチなどの自己免疫疾患の治療薬なども売り上げを伸ばした。

抗ウイルス剤ではC型肝炎をほぼ完治させる「ソバルディ」と「ハーボニー」が登場。開発・販売企業が年間4000億円以上を売り上げたことから、急きょ価格が引き下げられる特例制度も導入された。

2019/4/16 14:00
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43783100W9A410C1TJ2000/