東京地裁は11日、保釈中の日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(65)が12日に開かれる日産取締役会に出席することを許可しないことを決めた。ゴーン元会長側は11日、地裁の判断を不服として準抗告を申し立てたが、棄却された。

ゴーン元会長は保釈条件で日産幹部らを含む事件関係者との接触を禁止されており、取締役会出席には地裁の許可が必要となる。地裁は、ゴーン元会長の取締役会出席が圧力となって刑事裁判での関係者証言に影響を与えるなど、証拠隠滅につながる恐れがあると判断したとみられる。

ゴーン元会長の弁護人を務める弘中惇一郎弁護士によると、日産は「取締役会の議論に影響する」などとして出席に反対する趣旨の意見書を検察に提出。検察は日産の意見書も添えて出席反対の意見書を地裁に提出したという。

弘中弁護士は取材に対し「取締役会出席は役員の義務。圧力をかけにいくのではない」と説明していた。弁護側は取締役会出席の許可を地裁に申し出る際、証拠隠滅などの懸念を想定し弁護人をゴーン元会長と同席させることを提案したが、これも認められなかった。

ゴーン元会長側には日産側の弁護士を通じて、取締役会の日程と出席意向を確認する連絡があった。12日の取締役会の議案には、ゴーン元会長らの取締役解任に関連する項目があったといい、弘中弁護士は「(ゴーン元会長は)直接どういうことか聞きたい気持ちもあったのだろう」と話した。

ゴーン元会長は最初の逮捕直後の2018年11月22日に日産の会長職と代表権を解かれたが、現在も日産などの取締役に就いている。日産は4月8日の臨時株主総会でゴーン元会長と元代表取締役、グレッグ・ケリー被告(62)の取締役解任を諮る予定だ。

ケリー役員は18年12月の保釈後、日産の取締役会に出席しない意向を明らかにしている。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42300520R10C19A3CC1000/