【シリコンバレー=白石武志】米アップルは1日、カリフォルニア州クパチーノの本社で株主総会を開いた。世界シェア2位のスマートフォンでは中国の華為技術(ファーウェイ)などの追い上げを受けているが、ティム・クック最高経営責任者(CEO)は「2018年はハードやソフト、サービスの開発に140億ドル(1兆5600億円)超を投じた」と述べ、「我々の将来には自信を持っている」と強調した。

アップルは中国販売の不振などを理由に18年10〜12月期に9四半期ぶりの減収に陥った。米調査会社IDCによると18年通年のアップルのスマホ出荷台数の世界シェアは前年比ほぼ横ばいの14.9%となり、低価格を武器にシェアを4.2ポイント高め14.7%としたファーウェイにわずか0.2ポイント差まで詰められた。

ただ、クック氏は株主らに向けた近況報告の中でこうした話題には触れなかった。主力の「iPhone」の利用者数の増加やサービス部門の売上高の伸びなど業績の好調さを示すデータの説明に終始し、「18年はアップルにとって記録破りの年だった」と総括した。

近年はiPhoneに続く革新的な製品を生み出せていないとの声が根強く、株主からは「製品開発において十分なリスクをとっているのか」との質問も出た。クック氏は「数多くの取り組みを進めているが、うまくいくものもあればそうでないものもある。サイコロをふるようなものだ」と述べるにとどめた。

株主総会はクック氏ら8人の取締役の選任案など会社側が出した3つの議案を可決し、質疑応答を含めて約1時間15分で終了した。取締役候補者のスキルや思想、経験についての情報開示を求める案など、株主からは2つの提案が出されていたが、いずれも否決した。
2019/3/2 5:30
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO41956700S9A300C1000000/